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2004年5月掲載

決算書の超ポイントはここだ!

3月決算法人はそろそろ決算書ができてくるのではないでしょうか?ここでは、自社の決算を見る際のチェックポイントをいくつかあげてみました。

1 貸借対照表のここに注目!

(1) 短期(一年以内)の返済能力はどうか?→「流動比率」

「流動負債(主に一年以内に返済する負債)」は「流動資産(現金等+一年以内に現金化する資産)」で返済したいものです。そのためには、 「流動負債」<「流動資産」でなければなりませんね。この差額が大きければ大きいほど短期の支払い能力は高いことになります。

(2)会社の健全性、安全性はどうか?→「自己資本比率」

「負債」と「資本」の合計額にしめる資本の割合が高いほど会社の健全性、安全性が高いのです。負債は借入金に代表されるように返済をしなければならないものです。他方「資本」は株主からの資金を中心とするもので返済の必要はありません。返済不要なものの比率が高ければ当然会社の財務は安定し、健全性、安全性はより高いことになります。

(3)固定資産は自己資本(資金)でまかなっているか?→「固定比率」

工場等の固定資産の購入に充てられた資金は、その固定資産の利用期間を通じて実にゆっくりと、のんびりと回収されていきます。そこで、もし固定資産の購入資金を借入金で賄った場合、借入金は借入先へ返済の必要があるために早期に現金を必要としますが、固定資産の活用から得られる利益(現金)はその回収までに長期間を必要とするので、十分な返済資金を生み出すことが不可能な状況となります。このことからわかるように、固定資産は返済不要な資金、つまり自己資本で購入することが基本となるのです。さらに、固定資産の全額を自己資本(資金)で賄うことが出来なければ、借入金に頼ることになりますが、その場合は返済期間のより長い資金である長期借入金から充てることが望まれます。

(4)資産を経営に有効活用しているか?→「総資本経常利益率」

会社が借入をしてまで設備資産(財産)を保有するのは、その資産を経営活動において積極的に活用し、より多くの利益をあげるためです。言い方を変えれば、利益を生み出すために活用されていない資産は、保有する意味がないのです。資産を経営に有効活用しているかは「資産」の額と経常利益との比較で判断できます。(「経常利益」÷「資産」)の数値が高ければ高いほど資産の活用がなされてることになります。

2 損益計算書のここに注目!

(1)売上高と売上原価

小売業で言えば製品の販売高とその仕入原価の関係です。商売の原則はより大きな利益の追求ですから、原価率(売上原価÷売上高)は出来るだけ小さい方が理想です。過年度の決算書と比較したときに売上高が増えていてると一見順調と思えますが、原価率が大きくなっている場合は商品一個あたりの利益が減少しているので、「売ったわりには意外に儲からない」状態に陥りつつあるかもしれません。原因としては、仕入先との交渉力の低下による仕入原価の上昇、物流コストの上昇、ライバル企業の出現による主力商品の競争力低下や新商品(原価率が低い(儲かる))の開発遅れや市場への投入ミスなど様々な理由が考えられます。いずれにしろその原因を確認し、創意工夫で対応できるものなら知恵を出して改善しなければいけませんね。

(2)売上総利益

1年間の経営活動で生じる全ての費用を賄う利益です。この利益が売上高に比して大きければ大きいほど商製品一個あたりの販売利益が大きいわけですから、理想的な経営状態と言えます。逆にこの売上総利益があまりに振るわないと、この後に表示される「販売費及び一般管理費」を賄うことができないこともあり、通常の事業活動をしているだけで赤字を出してしまいます。そうなったら根本的な事業の見直しをするしかないでしょう。

(3)営業利益

ここで利益が出ていれば会社の営業活動は概ね正常と言えます。赤字ですと、現在の事業のスキームに問題があるかもしれません。一般的には赤字の原因は「販売費及び一般管理費」の負担が大きすぎるからと考えますが、もしかしたら売上総利益が少な過ぎる(商製品の安売り等を行い十分な利益を確保できていない)ことが原因かもしれません。

(4)経常利益

毎年経常的に獲得できると期待される利益であり、企業の業績をあらわすバロメーターとして重視されることもあります。営業利益がいいのに経常利益が悪い場合、借入金の利息負担が原因となっていることが多いです。経常利益は「けいつね」と呼ばれることもあります。

税理士 田中利征

決算の赤字はどうなるの?

青色申告法人で残念ながら決算で欠損金(税法上の損失)が出てしまった場合は、この欠損金を翌年以降の所得(税法上の利益)と相殺してくれる制度があり、これが「青色欠損金の繰越控除」と呼ばれる制度です。この制度を利用することで、下図のように翌年以降の納税額を減少させることが可能となります。

図

この欠損金の繰越が出来る期間は従来は5年間とされていましたが、平成16年度税制改正で平成13年4月 1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金に関しては7年間の繰越が認められ、2年間延長されます。

なお、欠損金の繰越控除の延長に合わせて、現行5年とされている帳簿書類も含めた全ての帳簿書類の保存期間が一律7年と、これも延長されます。この改正は、平成13年4月1日以後に開始した事業年度に係る帳簿書類より適用されますが、大きな負担増であります。

税理士 田中利征

黒字決算で翌期の資金負担は増加

決算を組んで黒字の場合は、税金の納付期限までに所得(利益)に応じた税金を銀行等で納めます。経営者としでは、納税が完了するとホット一息というところでしょうか。

しかし、この後にまだとても大事なことが控えているのです。

それは、中間納付の準備です。

法人税や法人住民税には中間納付の定めがあり、年間税額がある一定額以上ある会社は、翌事業年度の途中で前年度の年間税額の二分の一とかに相当する税金を現金で納付しなければいけないのです。この中間納付税額は資金繰りに大きく影響してくるので注意が必要です。年間税額と中間納付の考え方を示すと次のとおりです。なお、税率は実際の税率と異なります。

図

税理士 田中利征

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