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債務超過企業の資金調達方法(1/2)

負債が資産を上回っている債務超過状態になると、銀行などからの融資が難しい状況となります。債務超過企業は、企業の保有する全資産を売却換金しても、売却金で負債の全額を返済することはできません。そのため、債務超過企業に融資をした場合、貸したお金全額が返ってくる見込みは極めて低いと判断されます。数年以内に明らかに債務超過の状態を解消できる見込みがある場合などを除いては、こうした状態の企業にお金を貸すことは、銀行にとって大きなリスクとなるため民間の金融機関から融資を受けるのはかなり困難と言えます。

債務超過状態にある企業が、民間金融機関以外から資金を調達するには一般に次のような方法が考えられます。

1.政府系中小企業金融機関による融資制度の活用

政府系中小企業金融機関による融資制度の活用も検討します。政府系中小企業金融機関とは、具体的には日本政策金融公庫、商工組合中央金庫のことを言います。

これらの機関では、セーフティネット・再生融資(一時的な運転資金や災害復旧資金の貸付、経営再建資金の貸付など)による支援を行っています。

また、国が推進する新事業育成や新分野進出などの施策に合致する事業を行う中小企業者や金融機関の「貸し渋り」にあうなどの一定の要件に該当する中小企業者に対しては、特別貸付制度が用意されています。

税理士 田中利征

債務超過企業の資金調達方法(2/2)

2.地方自治体の制度融資の活用

都道府県をはじめ、市町村まで幅広く融資制度が用意されています。この制度は、国の中小企業支援策に連動したものですが、独自に運用されているものです。

一例をあげると、埼玉県では債務超過が一過性の債務超過であると認められる場合には、設備資金と運転資金を融資する、「スーパーサポート資金」という無担保融資制度(代表者保証あり)があります。

3.新事業活動促進法の経営革新支援の活用

「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」(以下、「新事業活動促進法」)の経営革新の支援措置である低利融資制度や補助金制度の活用も検討します。

この支援措置を受けるためには、予め新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認(原則として窓口は都道府県)を取得する必要があります。債務超過の状態であっても、経営革新計画の承認申請をすることに問題はありません。

一般に経営革新計画の承認を得るにはハードルが高い、とても難しいと思われていますが、都道府県の産業支援部門や商工会議所などで経営革新計画の作成を支援してもらえます。

4.中小企業再生支援協議会への相談

中小企業の再生について、各都道府県の中小企業再生支援協議会が相談、支援にあたっています。協議会には、中小企業診断士、公認会計士などの専門家が常駐しており、アドバイスや再生計画づくりの支援をしてくれます。

債務超過状態にあって一番大切なことは、一日でも早く専門家の知恵を借りることです。まだ何とかなる、大丈夫と思っているうちに、経営状況は悪化して再生の道も閉ざされてしまいます。

税理士 田中利征

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