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税理士田中先生のワンポイントアドバイス
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(2023年5月31日掲載)
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(2023年5月31日掲載)
2023年6月掲載
社長からの借入金がコロナ禍で予想以上に膨らんでいる会社から社長借入金の減少策についてご相談を受けました。
社長借入金は、社長サイドからみれば貸付金であるため相続財産となり、多額な社長借入であれば相続税の問題が生じるわけです。
そこで、膨らんだ社長借入金を会社の留保資金から返済していくことができない場合は、主に次のような対応策を検討することになります。
会社からみると社長からの借入金は債務となります。この債務を社長に免除してもらうのが債務免除です。債務免除を受けた会社は社長への借入金の返済義務がなくなるのですが、返済義務がなくなるということは会社にとっての経済的利益とされます。
債務免除による経済的利益は債務免除益と呼ばれ法人税の課税対象となります。ただし、社長借入のある会社は赤字で繰越損失を抱えているケースが多いため、控除期限内の繰越損失があれば債務免除益と相殺することができます。
社長の会社に対する貸付金を株式と交換する方法で、デット・エクイティ・スワップ(DES)と呼ばれます。考え方は、現金で貸付金の返済を受け、その現金をもって会社の株式を取得した、とするものです。社長サイドでは貸付金が株式となり、会社では社長借入金が資本金(株式)となります。
貸付金の帳簿価格(多くは額面)よりも時価が低いケースでは、その差額が社長サイドでは譲渡損、会社サイドでは消滅益とされます。
社長借入金を減らすと課税上の問題が生じることもあるため、事前に専門家に相談するようにしてください。
税理士 田中利征
前稿に続き膨らんだ社長借入金への対応策をみていきます。
社長借入金は、社長サイドかみたら会社に対する貸付金となるため、現金や株式などと同じ財産となります。
財産であれば相続人へ贈与をすすめることで相続財産を減らすことができます。相続人が複数人であれば、相続人全員に対して贈与税の非課税の枠内で贈与をすれば、相当額の財産を相続前に移転させることができます。さらに言えば、贈与の対象者を法定相続人に限定しなければ親族などへの贈与も可能です。
会社が保有している物品などを社長へ賃貸すれば、会社には賃料収入が発生します。この賃料収入の代金として社長借入金をあてることにして、社長借入金を減少させていきます。実際にはお金は動かないのですが、賃料収入を現金で社長から受取り、その現金で社長借入金を返済した、と考えるわけです。よくあるのが会社所有の建物に社長が住んでいて、会社が受け取る家賃として社長借入金を充てるケースです。
社長借入金をお金で返済するのではなく、お金以外の会社が所有している財産(不動産や自動車など)で返済する方法です。お金以外の物で返済に充てるため代物返済と呼ばれます。代物弁済は、会社財産を社長へ譲渡としたと解されるため、譲渡益が生じることもあり、その場合は譲渡益に対して法人税が課されます。さらに、譲渡した資産の種類によっては消費税も課されます。
社長借入金を減らすと課税上の問題が生じることもあるため、事前に専門家に相談するようにしてください。
税理士 田中利征
(2023年5月31日掲載)
(2023年5月31日掲載)